一日の質的向上は、心の揺れ、迷いを生活の中から除いてゆくことです。
このわずかな迷いは、信念の土台をいつも脅かす見えにくい力です。
あまり意識に現れないので、これが原因で自分の信念が崩れるのを許していることに気づけないのです。
一日のうちで、性質の違う2つの仕事をやらなければならないとします。
一つは熟練した仕事ですが、もう一つは素人よりはマシなくらいの仕事としましよう。
未熟な仕事をやっているうちに、なかなか上達しないため、叱られたり、周りの人に迷惑をかけてしまったとします。
次に、手慣れた自信のある仕事に移ると、どうなるでしょう。
揺れた心の影響で、慣れた仕事までが不完全な感覚になったりします。
こういったことは、日常生活の中でいたるところで見受けられます。
たとえば、家庭の問題を抱えたまま職場にゆくと、ふつう起こりえないミスをしてしまったり、うわの空で事に当たってしまうようなことになります。
逆に、良いことがあったり、動揺のない心境で物事に当たると、ふだんと同じ事をしてるのに、特別な充実感を覚えるのです。
信念をマネージメントしてゆく上で大切なことは、この心と時間の連続性を意識していなければなりません。
揺れたままの心を引きずると、自信を失うことになります。
未知の物事に当たるときは、そういう意味では慎重さが必要です。
チャレンジすることは大切ですが、無理に推し進めるだけでは、自信の根拠を失うことにもなりかねません。
つまり、自信を積み重ねてゆくための計画性を持っていなければなりません。
チャレンジ精神旺盛の若者が、いつかしら敗北感に打ちのめされて退場する背景には、自信の積み上げがされていないからです。
ようするに行き当たりばったりです。
イメージ的に心と時間の連続性が見えてくると、一日の質的向上は加速されます。
現在(いま)という時間の捉え方がまるで変わってきます。
現在は、未来の原因として存在することがわかる。
ですから心が揺れたとしても切り替えることができ、悪影響を最小限で抑えられます。
信念のある生き方とは、言い換えれば迷い少ない生き方とも言えます。
優柔不断な人を見て、「信念の人」と判ずることができるでしょうか。
弱い精神が浮き彫りになって、それこそ吹けば飛ぶような人格に見えてしまうものです。
しかしそれも心の習慣であって、いつからでも変えられます。
そのために理解しなければならないのが、心と時間の連続性なのです。
これを押さえることができると、潜在意識の手綱を握ったことになります。