潜在意識という言葉は、前世紀より頻繁に使われはじめられた言葉です。
また潜在意識の理解は、人生にも大きな影響を与えるものです。
ことに19世紀末から20世紀の初頭に活躍した、フロイトやユングらの臨床的精神分析によって、ふだんの意識とはまるで別物の意識が、人間の内には内在されていることが、広く知られるようになってきました。
日本で潜在意識という言葉が広く取り上げられるようになったのは、J・マーフィ一博士の著作が翻訳されてからだろうと思われます。
ちなみにその翻訳者とは若き日の故・渡部昇一氏です(ペンネーム大島淳一)
感謝呼吸における潜在意識の作用の仕方は、基本スタイルをたどってみるとよく理解できると思います。
基礎呼吸では、まずネガティブな思考を払い落とすような取り組みです。
そのネガティブな思考の「受動的イメージ」をお話ししましたが、無意識にもたらされるイメージというのは、仕掛け役はまさしく潜在意識です。
瞬間的に理由もなくイメージが湧いてくるというのは、考えてみれば不思議なことです。
ただ、潜在意識の存在を知れば答えは明確です。
しかも、単に湧いただけならよいのですが、潜在意識の性質として、イメージを蓄積するという働きがあります。
五感はその蓄積層にたくわえられたイメージ群に直結しやすいのです。
ですから、ふだんから興味のあることと結びつけやすいのですね。
たとえば、商人はいつも利益を出すことに知恵をしぼっています。
そうすると、何かを見てひらめくことと言えば、利益に結びつけるイメージに当然なりやすいのです。
あるいは、ミスをするクセのある人は、ミスを恐れるあまり行動もソワソワしていて、ちぐはぐな動きが目立つものです。
潜在意識を一つの形として捉えることは難しいことかもしれませんが、その影響によって現れるパターンを知ることで、紛れもない存在として潜在意識を捉えることができます。