寝ようとするとき、呼吸のリズムを意識的に調整して、眠ろうとしたことはあまりないかもしれません。
なぜなら、床に就けば自然と眠れるものだ、と思っているからですね。
また、たいていの方はそれで眠りにつけるわけです。
しかし、一度不眠を経験すると、眠るということがどれほど重要なことかを思い知らされることになります。
寝たいのに眠れない日が続くと、日常生活にも支障をきたすようにもなります。
それが原因となって、次々と問題を派生させてゆくことにもなる。
全ては不眠が原因だと知りつつも、問題視すればするほどに、不眠の悪循環は広がり
、心身は疲労のきわみに達するのです。
現代では、不眠は立派?な病気として見られています。
睡眠障害が、周辺にも影響を及ぼすようになることは間違いありませんね。
まさか自分が不眠症や、それを端緒にした欝病になるとは思つてはいなかったことでしょう。
家族や知人、同僚などを心配させ、迷惑をかけるようなことになるなど、さらに思っていなかったはずです。
そういう方々は、ほとんどと言ってよいほど、アンバランスな思考や生活に終始しています。
リズムの根幹が「呼吸」にあることは、眠れぬ生活の中にある人にはなかなか理解できません。
呼吸を整えれば眠れるようになるとは、短絡的に考えがたい。
彼らにしてみれば、不眠の原因が「思考」にあると思い込んでいるからです。
その思考が呼吸を乱し、乱れた呼吸が脳を刺激して、体を覚醒させています。
私たちはそんな思考の働きを、呼吸である程度は制御できることを知っています。
なので睡眠時の思考にしても、呼吸で抑制できることも知っています。
眠ろうとするとき、どうしてイメージや思考が騒ぎ出すかも、潜在意識の関係から
理解できるでしょう。
寝入りばなは、潜在意識が動き出しますから、意識下のイメージが自然と浮かび上がってきます。
それは強いインパクトを持っている事柄から、優先的に現れてきます。
たとえば、日中誰かと意見がぶつかり、その反感が続いているなら、寝床にまでよくないイメージを持ち込むことになります。
眠るときにそのイメージが現れたりすると、イライラしてきますね。
ネガティブなイメージをさらに拡大するようになります。
当然、呼吸も乱れて、脳は覚醒信号を受け取ります。
ここに不眠が発生するわけです。
日中の思考に気をつけなければならないのは、こういった事情にも関係することを知っておいてください。
人と意見が違って、ぶつかることはあって当然ですし、間違いなら襟を正す必要もあります。
でもそれを寝床に持ち込んで、不眠の要因にしてはなりません。
聖書の言葉の「一日の労苦は、一日にて足れり」は、睡眠という観点からも際立ってくるのではないでしょうか。