言葉というのは、人間・人生を形作る大きな要素です。
あなたがふだん使う言葉は、独り言なども含め、どんなものでしょうか。
ポジティブな言葉でしようか、それともネガティブな言葉でしょうか。
私たちの場合、感謝呼吸を実践しています。
長年その呼吸で過ごしていると、知らず知らずのうちに「ありがたいなあ」などの言葉が口癖のようになっていて、全く無意識のうちに口をついて出てきます。
呼吸によって常に感謝モードになっているからですね。
そうすると、その波長にあった現実が展開してくるのです。
無理をして「ありがとう」などと言っている状態では、何に対して感謝しているのかさっぱり判らないまま、しだいにバカバカしく感じられてきます。
なぜなら、自分自身に対して嘘をついていると感じているからです。
しかし、やっているうちに本当にありがたさが感じられてくる場合は、少し状況が遣います。
おそらくその時には、呼吸状態も安定的になっていて、心身がリラックスしています。
感謝の条件さえ備えば、感謝というのはいつでもどこでもできるものです。
感謝呼吸はそのような無駄を一切省いた呼吸であり、呼吸一つで感謝の状態が得られるようになります。
ですから、言葉にして「ありがとう」を言ったときも、実感するレベルが遣います。
本当にありがたくて体が火照ってくる感覚ですね。
そして、一日の内で呼吸的な安定感があればあるほど、感謝の状態は維持しやすくなります。
すると、ふとしたときにでも「ありがたいなあ」という言葉が出てくるのです。
ありがたいなあ、という口癖は驚くべき性質を持っています。
そういう言葉をつねづね発していると、人の見方が変わってきます。
まず世間の多くの人は、感謝の力を知っているようで知りませんから、そのような人を見つけると感動をもって注目するものです。
さらにそういう人を選り分けるようにして、よいことを持ち運んでゆくようになります。
やっていれば、おそらくすぐに実感できてくるはずです。
逆にあなたが、「ありがたいなあ」なんて言っている人を見つけたとしたらどうでしょう?
その人を感心して見つめるのではありませんか?
そしてその人のために何かしてやりたくなる気持ちにもなるはずです。
もし何かあったとしたら、すぐにその人のために動きやすくなっています。
客観的にはそうなのです。
しかし、くれぐれも利益誘導が目的にならないように注意してください。
ありがたさの実感がただ言葉になっているだけ、それだけでよいのです。
このように、感謝の心、感謝の言葉が多い人にはさまざまなものを与えやすい環境が出来上がります。
しかしそれだけでは片手落ちです。
つまり、いただいたならお返しするということです。
それは、心からの感謝の言葉でもよいですし、心ばかりの贈り物でもよいでしょう。
それがなくては、循環性は完成しないのです。
ありがたい、という言葉はそういう意味で、運に恵まれるということでもあります。
ツキを呼ぶのです。
ある男性は、どうしても親に対して素直になれず、感謝の言葉を言いたいのに言えずにいました。
そんな現実が多くの人に見受けられます。
そういう場合、切り口を変えてみるのです。
直にありがとうと言うのが気恥ずかしいなら、普段の会話の中で、「よく考えてみれば、ありがたい話だね」というような間接的な会話から入ってみます。
こういう会話が多くなると、あの人は感謝の心のある人だ、ということをわきまえてくれるようになります。
感謝の雰囲気があればあるほど、言葉としても出しやすいということを知っておいてください。
ちなみにこの男性は、そういった感謝の雰囲気作りからはじめました。
すると、親のほうもその雰囲気に引き込まれ、彼を見直すようになっていたのです。
やがて、なんのためらいもなく、感謝は伝えることができるようになります。