思考を見送る~もう一人の自分は確かにいる~
思考が意識のフィルターを通された産物であり、また意識はさまざまな側面を持っていることをお伝えしてきました。
ふつうそういった認識がないため、とりとめなく現れる思考に対して、なんの注意も払いませんね。
たとえば、何かの問題を抱えているとして、それに対して悩む、というプロセスがあるとすると、自分が悩んでいることに「気づけない」わけです。
どうしてこんな思考をしているのだろう?
という一拍が叩けないので、悩んでいることに思考がさらに被さるという悪循環に陥ります。
ここで気づきたいのが、思考の中でいる自分と、思考を見つめる自分がいるということです。
よく「俯瞰して自分を見る」ということが言われますが、それができるのはこのもう一人の自分の方なのです。
ではそんな、もう一人の自分になれるのでしょうか、どうしたら意識の転換ができるのでしょうか?
思考を変えるためには
その前に、意識が変わることで、現れる思考が変わるってことを実際に体感してみなければなりません。
同じ意識のままで、思考を転換することは事実上は不可能なことなのです。
いわゆる「プラス思考」というのは、問題という火種に灰をかぶせている程度の効力しかないわけです。
なぜなら、思考に対して思考で立ち向かっても、結局は同じ火元(意識)の思考同士が踊っているにすぎず、下手をすればさらに混乱した思考に苦しむことになるからです。
意識が変わるから、思考が変わるんです。
そこで重要になるのが、元の意識から出る思考を通過させてしまうことです。
言わばリセット作業です。
リラックスすることで、劇的に意識が変わる
そのためには、肉体的な緊張を取ることが最優先されます。
ここであなたの呼吸に注意を向ける必要があるのです。
無意識に思考しているとき、体の作用が思考に大きな影響を与えていることには気づけません。
私たち人間は実は脳だけで思考しているのではありません。
実は全身の細胞で思考しているのですが、脳細胞に神経が集中しているため、脳で思考していると錯覚しています。
その証拠に、緊張が解けるだけで思考の性質が、あっという間に変わることを体験した人も多いでしょう。
たとえば、深呼吸するだけで落ち着きを取り戻し、そこからの対処の仕方が変わるようなことがよくあるのです。
呼吸が思考に大きな影響を与えている
もちろん、呼吸も不安定なリズム・・・リズムとは言えない無秩序な状態です。
呼吸にリズムをもたせると、肉体的な緊張がとけるリズムに落ち着いてきます。
すると、ようやく気分が落ち着きを持つことになります。
そうなったときにあらわれる思考はどうでしょうか?
さっきまで悩んでいた思考とはまったく別物の質感がしませんか?
つまり、異質の意識を通過した思考なのです。
思考は実は、意識が作用して現れた過去物です。
なので、これをどう変えようとあがいても、変えることは不可能です。
意識のフィルタリング
思考を変えるために私たちができることは、意識を変えることだけなのです。
なりゆきで意識の転換が起こることもよくありますが、無為な苦しみからもう卒業したいのだとしたら、自分の望む意識に定めてしまうことが一番です。
また、さまざまな意識を体験して、引き出しを持ち合わせることも可能です。
こんな時にはこの意識が心地いい、こんな時にはこの意識が役に立つといった、選択ができるようになります。
まるで、衣装でも変えるように、意識の装いを変化させるのも素敵な人生になるのではないでしょうか。
意識を意図して変えることができるようになると、フィルタリングが進み、人生はかなりスムーズになるでしょう。
感謝の意識を生きる
さて、私たちの感謝呼吸は、特に感謝の意識に照準を合わせます。
もちろんこれのみが全てではありませんが、この意識で生きることのメリットは、体験してみればよくわかります。
おそらく誰もがこの意識体験をしているのですが、いつの間にか忘れてしまってます。
「ありがたいなあ」と心底感じる瞬間て、記憶に無いですか?
これを感じてからしばらくは、どんなことでも許せるような、寛大な気持ちになれませんでしたか?
この意識を通じて思考されることは、どれもみななぜか幸せな気分になれなかったでしょうか?
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この記事を読まれただけでも、いくつかの意識の種類を体験されたはずです。
それは、意図して意識を選択したのではないでしょう。
しかし、あなたがその気になれば、意識は自分で選べます。
つまり、望む思考で生きられることがわかるはずです。