“いま”が薄まるとき~無意識に生きる時間の恐ろしさ
気づけば1日が終わっていた。
「あれ、今日、何してたっけ?」と、自分の時間を思い出せない日がある。
たしかに忙しかったはずなのに、記憶に残っていない。
そんな日は、「自分が生きていた」という実感すら、どこか曖昧じゃないですか?
私たちは、気を抜くとすぐに“自動操縦”で時を流してしまう。
これは単なる疲れではなく、“いま”を失っている状態です。
今日は、「意識のない時間」がどのように心や人生に影響を及ぼすのか、
そして、その“時間の空洞”から抜け出す方法を考えていきましょう。
時間を失った日の違和感
誰にでもある、「何も覚えていない日」。
スマホを見て、メールを返して、誰かと会話して、買い物をして──。
外から見ればちゃんと生活している。けれど、内側には不思議な空虚感。
実はこれ、「今ここ」の感覚をすっかり手放していた証かもしれません。
時間は進んでいたけれど、自分がその時間に「不在」だったのです。
“自動操縦”の時間が心をすり減らす
私たちは毎日、膨大な情報とタスクにさらされています。
意識しなければ、朝起きてから寝るまでが「やるべきこと」で埋め尽くされ、
息つく暇もなく“処理モード”に入ってしまいます。
この「自動操縦」状態のとき、
脳は過去や未来ばかりを見ており、
“今ここ”のリアリティがどんどん薄れていきます。
そうして1日が終わったとき、残るのは「疲れ」と「空虚感」。
心の余白がすり減っていくのは、この“無意識の時間”が積み重なるからです。
「いま」に戻る3つの習慣
1. 五感を意識する
目の前のものに触れ、においをかぎ、音に耳を澄ませてみてください。
例えば、コップの水を飲むとき、その冷たさに意識を向けるだけで、
あなたは“今”に戻ってきます。
2. 呼吸を意識する
「深呼吸」と言うよりは、ただ“気持ちいいように息をする”感覚。
呼吸がゆったりしてくると、自分の内側の時間がゆるみます。
3. 「いまのわたし」を心の中で呼びかける
数秒でいいのです。
「わたし、今ここにいるね」と。
それだけで意識が未来や過去から、自分自身へと戻ってきます。
まとめ|「いま」を生きた日は、人生の質が変わる
1日は24時間。でも、どれだけその中に「あなた」がいたでしょうか。
時間は、長さではなく“存在の濃さ”で質が決まります。
何かを成し遂げなくてもいい。
小さな瞬間に、ほんの少しでも“今ここ”に戻れたら、それが人生の回復。
今日という時間を、自分に返してあげましょう。
そうすることで、“時間に追われる人生”から“時間を味わう人生”へと
確かに変わっていきます。
📝 コラム|「わたしを置き去りにして、時間だけが流れていく」
気づいたら、何をしていたのか覚えていない。
ただ「疲れた」とだけ感じて、今日という日が終わる。
そんな時間を何日も過ごしていると、
わたしたちは少しずつ「自分が誰だったか」が分からなくなっていきます。
これは「記憶の問題」ではなく、存在の実感の希薄化です。
言い換えれば、「わたし」という存在が、時間の流れから脱落していく感覚。
脳は、“目の前”を生きていない
現代人の脳は、ほとんどの時間を「次のこと」や「終わったこと」に使っています。
たとえば、会話をしている最中に、頭の中では次の予定を思い浮かべていたり、
食事をしながらスマホを見たり──。
この「身体と意識のズレ」が続くと、
やがて“いまの自分”が空洞のように感じられてきます。
感謝呼吸は、「わたし」を呼び戻す
この空洞を埋めるのが、“深い呼吸”です。
特に感謝呼吸は、ただ呼吸を整えるだけでなく、
「今、ここにいることにありがとう」
という感覚を、静かに体と心に広げてくれます。
ほんの数分、感謝呼吸をするだけで、
目の前の空気や音が「自分の世界」に戻ってくる感じがする。
それはまさに、“わたし”という存在が帰ってきたサインです。
生きていた、と思える時間を増やすために
人生の本質的な豊かさは、“存在の密度”にあります。
何をしたかではなく、どれだけ“自分がそこにいたか”。
呼吸は、あなたという存在の「立脚点」を取り戻す行為。
それを知っている人は、
たとえ忙しくても、疲れていても、
人生から置いていかれることがないのです。