「いい人」をやめたら、空気が軽くなった~気をつかわない関係は、呼吸から生まれる
「一緒にいると、なんだかホッとしますね」
そんなふうに言われたのは、正直、初めてのことでした。
以前の私は、
いつも相手に合わせてばかりで、
気づけば自分の呼吸がどこかに行ってしまうような毎日だったのです。
会話のトーンや間の取り方、
沈黙の空気をどう埋めるか──
どれもが「相手に不快な思いをさせないため」の努力でした。
でも、呼吸を見つめ直し、
少しずつ“自分の呼吸”を取り戻していくうちに、こう思うようになりました。
「人に合わせるより、まずは自分に戻ることが大切なんだ」と。
自分の呼吸が整っていると、
たとえ相手とテンポや価値観が違っていても、
無理に合わせようとしなくても、自然とバランスがとれるのです。
それぞれの呼吸のままで、
心地よく関われる人間関係があることを、私は呼吸から教わりました。
気をつかわない関係って、わがまま?
「自分のことばかり考えてる」と思われたくなくて、
つい相手に合わせすぎてしまう──そんな経験はありませんか?
でも、本当に心地よい人間関係とは、
「合わせる」ことではなく、「調和する」こと。
その違いに気づかせてくれたのが、
私にとっては“呼吸”でした
呼吸を合わせることの限界
人間関係の中で「相手の呼吸に合わせる」ことは、
最初は思いやりのように感じられます。
でも、それが続きすぎると、
次第に「自分のペースで息ができない」状態になっていきます。
例えば、会話中にいつも緊張してしまう相手。
沈黙が怖くて、無理に言葉を続けてしまう場面。
そんなとき、身体は実は、
「呼吸を止める」「浅くする」ことで
“合わせている”のです。
これは、無理な同調。
続けていれば、心も身体も疲弊していきます。
ミニワーク「自分のリズムに戻る呼吸」
1人の時間をとって、深呼吸してみましょう。
- 静かな場所に座るか立つ。
- 吐く息に意識を向けながら、心の中でこうつぶやきます。
「今、わたしはわたしに戻っています」
- 吸う息では、自分の“感覚”を取り戻すように。
「この世界に、自分のリズムで存在していい」
この呼吸を数回くり返してから、
ふだん気をつかってしまう人との会話を思い出してみてください。
きっと少し、見え方や感じ方が変わっているはずです。
まとめ:自分の呼吸が立つと、関係は軽やかになる
「いい人」をやめるというのは、
誰かを突き放すことではありません。
自分の呼吸を取り戻すことで、
無理に合わせずとも自然に調和できる関係を育てていく。
そのスタート地点に立つということなのです。
気をつかわずに、気が合う。
それは、呼吸から生まれる
“軽やかな共鳴関係”かもしれません。
コラム:呼吸が立つと、関係が自然に整う理由
「呼吸が立つ」という言葉は、
まるで背筋がすっと伸びるような感覚を伴います。
受講者のひとりが、こんなふうに語ってくれました。
「昔は、相手の表情ばかり気にして、
つねに自分を小さくしていました。
でも講座で呼吸の軸ができてからは、
黙っていても場が安定する感覚があるんです」
この“場が整う感覚”こそ、
自分の呼吸が整ったことで、
相手にも安心感を与えている状態なのです。
つまり、合わせる必要もなく、
言葉を尽くす必要もなく、
呼吸そのものが関係を育ててくれるということ。
誰かに無理をし続ける関係から、
互いに呼吸が整う関係へ。
その変化の入り口に、
あなたも立つことができます。