“いま”を生きる力~呼吸が過去と未来をほどくとき
「もう終わったことなのに、ずっと心に残っている」
「まだ起きていないのに、どうしても不安になる」
わたしたちは、気づかないうちに“過去”や“未来”に心をとらわれ、
「今ここ」にとどまることが難しくなっているのかもしれません。
でも─そんな時こそ、呼吸の力を思い出してみてください。
息を吸って、吐くだけ。
それはどこまでもシンプルで、でも確実にあなたを「いま」に戻してくれる手段です。
今回のレッスンでは、
「呼吸が時間の縛りをほどく」という新しい視点をお届けします。
気づけば、心は“いま”にいない
一人でいるとき、ふと過去の後悔や恥ずかしさが蘇る。
明日の予定を考えるだけで、気持ちが重たくなる。
そんなふうに、「いまここ」から意識が離れてしまう瞬間は、誰にでもあるはずです。
けれど、そうして心が時間のあちこちをさまようとき、
実は私たちは“生きている実感”を失ってしまっているのです。
感情は「時間」に引きずられている
ネガティブな感情の多くは、実は“今”には存在しません。
それはすべて、
- 過去に対する記憶
- 未来に対する想像
から生まれているのです。
つまり、感情は「時間に結びついた思考」によって、かき乱されているとも言えます。
だからこそ、
その思考をほどいて、「今」に戻ることができれば、
感情も少しずつ静まっていきます。
呼吸で「時間の糸」をほどいていくワーク
- 静かに座り、目を閉じる
- 吸うとき:「過去を離す」と心でつぶやく
- 吐くとき:「未来を手放す」と意識する
- 3〜5回、呼吸だけ繰り返し、最後に「いまここにいる」と感じる
シンプルなワークですが、
呼吸のリズムが整ってくると、
“いま”という一点に心が静かに降りてくるのを感じるはずです。
「いま」に帰る力は、いつも呼吸とともにある
過去も未来も、あなたの心のスクリーンに映った映像にすぎません。
それらがどれほど強く感じられても、
実際に生きているのは、この“いま”だけです。
呼吸は、そんな現実に立ち返らせてくれる確かな技術であり、
時間に引きずられそうなあなたの、“命綱”のようなものです。
たったひと呼吸で、
あなたは「いま」に帰ることができる。
📝 コラム|「時間の記憶」が、感情の正体になる
わたしたちが抱える感情の多くは、
実は“今この瞬間”に生まれたものではありません。
怒り、悲しみ、不安、後悔──
それらのほとんどは、
- 「過去の記憶」から引き出された感情か
- 「未来の予測」から生まれた不安や緊張
です。
つまり、感情は“時間を伴った思考”が生み出しているということ。
感謝呼吸が感情を“ほどく”理由
感謝呼吸を続けていくと、
次第に「思考の癖」と「時間との関係性」に変化が生じてきます。
なぜなら、呼吸は時間から最も自由な存在だからです。
呼吸は「いま」しかできません。
昨日の呼吸も、明日の呼吸も、今ここには存在しない。
だからこそ、呼吸に意識を向けると、
わたしたちの心も“今”へと静かに戻ってくるのです。
感謝呼吸には、
「いま、こうして呼吸できていること」への小さな喜びと、
「ただここにある」ことへの肯定が含まれています。
この状態にふれると、
過去の記憶に巻き込まれたり、未来の想像に怯えたりする力が、
ほんの少しだけ、緩むのです。
時間をほどけば、感情がほどける
感情を無理に変えようとしなくていい。
ただ、「過去」や「未来」からいったん意識を外して、
「今この呼吸」に戻るだけでいい。
その習慣が育っていけば、
わたしたちの感情は時間の鎖から解き放たれ、
もっと軽く、柔らかく、自由になっていきます。