呼吸に委ねる夜──眠りと余白の深い関係
「今日は、もう考えるのをやめたい」
そんな夜がある。
でも頭の中は静まらず、明日の不安がよぎる。
深く眠りたいのに、眠れない。
そんなときこそ、自分の呼吸に委ねるという選択を、
そっと差し出してみてください。
眠る前、呼吸に“委ねる”という感覚
眠るという行為は、私たちにとって唯一、
「考えることをやめていい時間」なのかもしれません。
でも実際には──
布団に入ってからも、あれこれ思考が止まらなかったり、
身体のこわばりが抜けずに、眠りが浅くなったり。
これは、日中にため込んだ緊張や神経の興奮がまだ残っている証拠。
眠りは“頭”ではなく、“神経”と“呼吸”によって導かれるのです。
呼吸は、睡眠への“扉”を開ける鍵
感謝呼吸を続けている受講者からよく聞くのは、
「眠りの質が上がった」「夜中に目が覚めなくなった」
といった変化です。
これは偶然ではありません。
深い呼吸には、以下のような生理的作用があるのです:
- 副交感神経の優位化
- 血流・内臓活動の回復モードへの移行
- 思考の減速と、感情の“溶解”
つまり、身体と心が“眠れる状態”に自然と向かっていくのです。
夜の呼吸は、“委ねる呼吸”
眠るためにがんばって呼吸するのではなく、
「呼吸にまかせて、からだを預ける」
その感覚を、ほんの数回でいいから味わってみてください。
具体的には──
- 布団に入って、軽く目を閉じる
- 「いま息を吸ってるな」「吐いてるな」とだけ感じる
- 呼吸のリズムを、自分に合わせようとせず“聴く”
- 思考が出てきたら、「あ、考えてるね」とだけ気づく
- 最後に、「今夜はもう、呼吸にまかせるよ」と心の中で言ってみる
睡眠は、最高の“余白”かもしれない
眠りの時間とは、意識も思考も手放し、
身体と魂が再びつながる“無垢の空間”。
その入口に、呼吸を使って立つことができたなら、
それはもう、十分に「癒し」なのです。
心に余白が生まれるのは、
なにかを足したときじゃない。
なにもせず、委ねることをゆるしたとき。
「深く眠るということは、自分に戻ること。」
💤 コラム|眠りの質は「日中の呼吸」にかかっている
「睡眠負債」という言葉を耳にするようになりました。
たしかに、寝不足が重なると集中力が落ちたり、免疫が弱まったり、心の安定にも影響が出ます。
けれど、感謝呼吸を実践していると気づくことがあります。
“睡眠の問題は、眠っているときだけの問題ではない”ということ。
よい眠りは日常の呼吸の中に
私たちの呼吸は、起きているときも、眠っているときも、
常に“無意識の在り方”を映し出している鏡のようなものです。
つまり──
- 日中に浅く・せわしない呼吸をしている人は、
夜もその癖が無意識に続いている。 - 緊張や怒りを「ため込んだまま」日常を過ごせば、
眠っているときも身体は“闘う姿勢”のまま。
実際、無呼吸症候群などの睡眠障害も、
身体の姿勢・筋肉の硬さ・神経系の癖と深く関係しており、
その多くは“日常の生き方そのもの”からつくられています。
感謝呼吸は、眠りを「夜だけの活動」として扱いません。
- 呼吸を通して、日中に“リリースする力”を取り戻す
- 余白を感じる時間を、毎日のなかにほんの数分でもつくる
- 自分の呼吸に「気づく」習慣を育てる
これだけでも、夜の呼吸は自然と変わり、
眠りが“神経の回復”ではなく、“魂の再生”の時間へと変わっていきます。
睡眠の原因は、昼間のあなたの呼吸にある。
だからこそ、起きている時間をどう呼吸するかが、
本当の意味で「眠りを癒し」にするカギなのです。
睡眠負債より「呼吸貯金」
眠りに不安がある方にこそ、
睡眠負債の心配よりも、
“呼吸貯金”を意識してほしいのです。
1日3分でいい。
「気持ちよく吐けたな」と思える呼吸を、
毎日少しずつ、身体と神経に“記録”していくこと。
それは目に見えないけれど、
確実に、あなたの眠りの質を支える貯金通帳のようなもの。
寝る直前ではなく、
むしろ「日中の生き方」こそが、
夜の深い休息をつくる“原資”になるのです。
睡眠負債より、呼吸貯金。
眠る準備は、日々の呼吸のなかにある。
ちなみに感謝呼吸実践会では、いわゆる“睡眠障害”に悩む方々に対しても、
睡眠中の呼吸よりも“日中の神経系と呼吸パターン”を調えることの重要性を、
コアスリープメソッド(核睡眠法)として伝え続けてきました。
今ではこれは、受講者の必須の心得です。
医学界が近年ようやく注目しはじめたこの視点を、
私たちは「呼吸の記憶と、魂の回復」として30年以上前から伝えていたのです。