未来は向こうからやってくる~ 迎える側としての私たち
シリーズの現在地とテーマ案内
「時のレッスン」も第10回。
これまでわたしたちは、時間に追われる日常の中で、
呼吸という“現在地”を手がかりに、
時間との関係を丁寧にととのえてきました。
ここからは、いよいよ視点を“未来”へと向けていきます。
といっても、それは「目標を掲げて突き進む」という意味ではありません。
むしろ逆です。
未来は「こちらから行くもの」ではなく、「向こうからやってくるもの」という感覚。
その静かで本質的な“時間の流れ”に、あなたをお連れします。
目の前に予定表を広げて、
1週間後、1ヶ月後、半年後の自分を思い浮かべる。
── でも、どこか焦る。重い。しんどい。
「このままで大丈夫だろうか?」と、不安になる。
そんなときにふと、別の感覚が湧いてくることがあります。
「未来って、“迎えるもの”じゃないのか?」
未来を設計して“取りにいく”のではなく、
“自分の在り方”に呼応して、静かに訪れるもの。
それが、ほんとうの“時間の流れ”かもしれません。
今回は、そんな「迎える未来」と「待てる私」について、
呼吸とともに探っていきましょう。
「未来を作る」ことに疲れてしまった人へ
これまで、未来とは「努力して切り拓くもの」だと教えられてきました。
目標を立て、計画を立て、自分を奮い立たせて前進する。
けれど、そのやり方にどこかで疲れてしまっていませんか?
頑張っているのに、なぜか苦しい。
未来が希望ではなく、義務や不安に感じられる。
それはもしかしたら、
未来に「行こう」としているからかもしれません。
未来は、自分の“在り方”に引き寄せられるようにして訪れる
本来、未来は「今この瞬間の在り方」に応じてやってくるものです。
焦って追いかけなくても、必死に努力しなくても、
あなたが“何を意図し、どんな質でいまを生きているか”に反応して、
自然に未来の扉は開いていく。
これはスピリチュアルでも妄想でもありません。
私たちは、呼吸をととのえ、
心が整ったときに出会う出来事ほど“意味がある”と感じるものです。
つまり、未来とは“在り方の共鳴”で起こってくる。
未来は、自分の質がつくる現象なのです。
【実践】呼吸で“未来の受信感度”を高めるワーク
- 呼吸をゆっくり、静かに深める(吸う:4秒、吐く:6〜8秒)
- 吐く息とともに「私は受け取る準備ができています」と内側で唱える
- 息を吐ききったあと、数秒“待つ”──何も起こらなくていい。
- その静けさの中に、自分が未来を迎え入れるスペースがあると感じる
この呼吸をくり返すことで、
あなたの感受性が高まり、
“未来の兆し”に自然と気づける自分になっていきます。
【まとめ】「迎える」という生き方へ
未来は、無理に追いかけるものではなく、
自分がどう在るかによって、自然と訪れてくるものです。
だからこそ、必要なのは焦りでも、達成でもなく、
「迎え入れるための余白」と「今ここに生きる感度」なのです。
呼吸は、その“静かな受信機”のようなもの。
一呼吸ごとに、未来とつながっている自分を、どうか信じてください。
「わたしは、未来に会いに行くのではない。
未来が、わたしに会いに来るのだ。」
🫧 コラム|未来を迎える身体をつくる──それが呼吸の役割
「未来に向けて準備する」と聞くと、
わたしたちはつい“考えること”や“計画を立てること”だと思ってしまいます。
でも実は、
未来を迎える準備は、“考える”よりも“感じる”ことから始まるのです。
予期せぬ出会いやチャンスは、“今の呼吸”が連れてくる
人生で大きな転機が訪れたとき、
それは必ずしも努力の結果とは限りません。
偶然のようで、必然のような「出会い」や「気づき」が訪れるとき、
あなたの内側には、必ずと言っていいほど“静かな受容のスペース”があったはず。
呼吸が深く整っているとき、
私たちはそのスペースに気づき、
そこに未来が入り込む余地が生まれるのです。
“がんばる”ことで未来を遠ざけていないか?
未来をコントロールしようとすると、心も身体も強ばります。
これは、無意識のうちに「未来は危険で、不足している」という前提を抱えているから。
でも、呼吸が深く、リズムが整っているとき、
不思議と“未来を信じられる”ようになるのです。
安心している身体が、
「迎える未来」の土壌になる。
息をととのえることで、“未来の質”が変わる
呼吸が浅いと、未来は焦りや不足として感じられます。
呼吸が深いと、未来は待つに値するものとして現れます。
未来は、まだ見えないものではありません。
今の呼吸に、すでに“その予感”が宿っているのです。
今日の呼吸が、明日のあなたを迎える準備になる。
そんなふうに、ひと呼吸を大切にしてみませんか?