ホームレスからの復活①
ホームレスからの復活②
ホームレスからの復活③

車は走り出した。
そして、トンちゃんの新たな旅も始まった。

公園生活が長いトンちゃんには、
染みついた垢を洗い流すことから
始めなければならなかった。

まあ、垢と言っても、
いろんな垢があるわけでして、

自分をそこまで追い詰めた、
思考に染みついた垢。

あるいは、

自分の体に付いている、
なにやら異臭の拡散源になっている垢、

これはけっこうなシロモノだった。
思わず鼻をつまんでしまう。

そこで帰り道、

近所にある公衆の温泉浴場に行き、
こするようにして全身を洗い流した。

その後、湯船にどっぷりとつかると
まあ、天国にでも来たのではないか、
と思えるような笑みを浮かべてこういった。

「こんなに気持ちのいいお風呂に入ったのは、
あまり記憶にありませんなあ・・」

たぶん、これまでお風呂につかっても、
それが普通のことだったから、

ありがたい、などという気持ちには、
なかなかなれなかったのだろう。

おそらく、こういう環境に陥って、
はじめて知る「ふつう」に生活できることの
ありがたさかもしれない。

これは、
病気の性質ともよく似ている。

病気は、自分の身体的健康というホームを失う、
ホームレス状態と言ってもいいかもしれない。

ついでにトンちゃん、
もう2週間も便秘だったというのだから、

これまた僕は、驚きを隠せなかった。

(2週間て、あんた・・)

毎日快便の僕には、

「ありえんな叫び

のひと言がボソッと。
後日、便秘の解消法も伝授。

大きな浴場を出た。

もう夜も10時を回っていたせいか、
お客さんもほとんどいなくて、

僕らは二人で
談話室のようなところで、

冷たいお茶を飲みながら、
彼の話に耳を傾けることにした。

どうも僕は、この手の話に弱いようだ。

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ホームレスからの復活②
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